「わたしにやらせてください。そのエリアは実家もあって詳しいので」

こうしてわたしは、I様のご新居用の土地探しを担当させていただくことになりました。ご主人様は単身赴任中とのことで、主に奥様とやりとりすることに。

「わたしにやらせてください。そのエリアは実家もあって詳しいので」。こうしてわたしは、I様のご新居用の土地探しを担当させていただくことになりました。ご主人様は単身赴任中とのことで、主に奥様とやりとりすることに。

少しでも不安を和らげたい。わたしは勝手知ったるエリアを、不動産営業の視点でもう一度下見したり、ご案内の際も型通りの営業トークでなく、自分自身のエピソードを交えたりして街の魅力をお伝えしました。とにかく、プラス思考で。

しかし、なかなか気に入っていただける土地がなく、一旦エリアを広げることに。同時に、I様が本心では望まれている元のエリアの情報も注視していたところ、ある時ご希望エリアで条件にぴったりな土地が出たとの情報が。ちょうど戻られていたご主人様もご案内すると、とても気に入られたご様子でした。

しかし新たな問題が。I様がご希望のプランを入れてみたところ、土地の間口が20センチ足りなかったのです…。I様の落胆は相当でした。一緒になって落ち込みかけましたが、わたしが諦めてどうする、と思い直し、打開策を考えました。

わたしが最後に打って出たのは、隣の土地から不足分を売っていただくこと。ダメ元でした。でも、熱意や、真剣さは、わかっていただけるものなのですね。隣の土地の方は、お願いを聞き入れてくださいました。

いまI様はその土地に、ご希望通りの家を建てている最中。地鎮祭にも呼んでいただき、感謝の言葉を頂戴しました。その時のご夫妻の笑顔。そして、ただ土地をご紹介するだけでなく、お客さまのベストプランをコーディネートできたこと。それがわたしに、充実感を与えてくれています。