想像を超えた提案ができる。それが仲介のプロ。

「相場の価格ではムリだって、いろんなところで言われてしまって…」一日も早いご自宅の売却を希望され、ご来店いただいたS様が抱えていた問題。それはS様のお住まいでなく、周囲から苦情が出るほどの住まい方をされていた隣家にありました。

「まずは詳しく調査をしましょう」。状況を正しく知る必要があると思い、わたしはそうお伝えしました。今までが今までだけに、S様は、それだけでも少しほっとされていたようでした。実際に関係各所にヒアリングを重ねてみると、隣家の問題はあと半年をメドに解決に向かいつつあるとの情報が。

「すぐ」がご希望のS様に、「半年後」をご提案するのが是か非か。引き延ばせば、仕事が他社へ流れるかもしれない。わたしが仲介のプロとして下した判断は、「お待ちいただく」でした。心の中で「必ず、ご希望価格でお売りします」と誓いながら。

S様は、わたしを信じてくださいました。わたしもそれにこたえるべく、すでに新居へ越されていたS様に隣家の情報を逐一、ご報告しました。S様よりも、その問題について詳しくなる。そんな意気込みで…。

運命の半年後、ついに隣家問題は解決。売却活動に入りました。そしてほんの一ヶ月後には、ご成約にいたりました。肝心の売却価格も、もちろんご希望通りで。

「じっくり待つ」。それはS様にとって驚きの提案だったようです。しかしわたしは、実は確信していました。S様が本当に望んでいらっしゃったのは、早く売れることよりも、安心して適正価格で売れることだったのだと。だってわたしは、仲介のプロ。お客さまの心の声を聞かなければ、いい仕事はできませんから。